(研究技術・システム)

  1. 精神・神経疾患モデルマウスの作出 慢性予測不能軽度ストレスや拘束ストレス、強制水泳試験暴露によるうつ病モデルマウス、恐怖条件づけによる心的外傷後ストレス障害 (PTSD) モデルマウス、がん細胞の移植や抗がん剤の投与によるがん関連認知機能障害 (CRCI) モデルマウス、MK-801投与による統合失調症モデルマウス、加齢モデルマウス、てんかんモデルマウスなど、各種の精神・神経疾患モデルマウスを研究室内の飼養施設で作出しています。
  2. ビデオトラッキングによる行動解析 Stoeling社製のビデオトラッキングソフトウェア (ANY-maze) を用いて2個の遮音箱から同時記録する独自のシステムを2セット導入しています。オープンフィールド試験、強制水泳試験、T迷路試験、Y迷路試験、高架式十字迷路試験、新規物体認知試験、明暗ボックス試験、社交性試験などを行っています。ビデオカメラで取得した画像からは、マウスの頭部や尾部の位置情報が自動的に抽出され、トラッキングデータに変換されるため、マウスの認知・情動機能を効率よく評価することが可能です。
    研究技術 【T迷路試験によるワーキングメモリー解析・論文60】
  3. 恐怖条件付け 室町機械製のコンディショニングボックスを2個導入し、ANY-mazeで制御を行うオリジナルのシステムを構築しています。音、光、場所などの条件刺激と、電気ショックによる非条件刺激を提示してマウスの恐怖条件付け (古典的条件付け) を行い、無条件刺激に対する記憶の形成、貯蔵、想起の評価が可能です。
  4. オペラント条件付け MED社製のスキナーボックスを2個導入し、ANY-mazeで制御するオリジナルのシステムを構築しています。光に反応してマウスがレバーを押すと餌が出てくることで、オペラント条件付け (道具的条件付け) を行い、行動に対する学習形成の評価が可能です。
  5. プレパルス抑制試験 SR-LAB社製の驚愕反応測定ボックスを2個導入し、Excel VBAを用いて独自に開発したデータ解析システムを組み合わせて、統合失調症モデルにみられるプレパルス抑制の障害を高い精度で計測することが可能です。
  6. ハイスループット画像解析 蛍光五重画像を取得することができるように改良したCarl Zeiss社製の光学セクショニング顕微鏡を研究室内に保有しています。また、免疫染色やFISH (fluorescence in situ hybridization) を用いて、シナプスや受容体、ニューロンやグリアを高感度で可視化する技術の蓄積があります。取得したデータは、独自に開発してきたハイスループット (高効率) 画像解析システムを用いることで、シナプスレベルから細胞レベル、組織レベルまでの微細構造や分子発現の正確な計測を行うことが可能です。また、マイクロブライトフィールド社製のNeurolucidaを2セット保有し、三次元再構築にも取り組んでいます。
    研究技術 【PVニューロンとシナプスの免疫蛍光4重染色とラインプロファイル解析・論文52】
  7. 化学遺伝学による神経回路の活動性制御 定位脳手術装置を用いて、ウィルストレーサーや蛍光トレーサーを脳内に微量注入し、特定の神経回路に遺伝子や蛍光分子を導入することが可能です。最近は化学遺伝学の技術を用いてDesigner Receptors Exclusively Activated by Designer Drugs (DREADD) を導入した神経回路の活動性を制御し、モデルマウスの行動学的変化や神経回路の構造的変化の解析を行っています。
    研究技術 【逆行性トレーサー (FG) で標識したマウス海馬の投射型GABAニューロン・論文51】
  8. 一細胞標識解析 マウスを固定後に100ミクロン程度のスライスを作成し、細胞内に蛍光色素を注入することで、ニューロンやミクログリア、オリゴデンドロサイトなどの隅々の形態を可視化します。生細胞に色素注入するのに比べて、微細形態と分子発現の保持が良いのがメリットです。
    研究技術 研究技術 【マウス海馬のオリゴデンドロサイトの一細胞標識・論文41】
  9. 電気生理学的解析 In vivo傍細胞記録装置やスライスパッチクランプ装置、カルシウムイメージング装置を備えており、海馬の神経回路の活動性の様々な解析が可能です。
    研究技術 研究技術 【マウス海馬歯状回のmossy cellから行ったwhole-cell記録・論文10】